(1)令和7年度(2025年度)社会保険労務士試験の合格反省記

令和7年度(2025年度)の社会保険労務士試験に合格した方の合格反省記です。
〜印象的な言葉〜
「完璧な計画よりも、まず継続できること。初期の計画性の欠如は、学習継続という最も基本的な土台を揺るがす最大の障害でした。」
「問題演習とテキストの完全連動、未出題箇所の可視化と重点学習。この地道な作業こそが、知識の網羅性を飛躍的に高め、最終的な合格へと繋がった最大の要因であったと確信しています。」
1.プロフィール
| 年齢 | 51歳 |
| 職業 | 団体職員 |
| 受験回数 | 7回 |
| 合格点数 | 選択31点(割れなし)・択一44点(割れなし) |
| 使用教材 | 2022年および2023年 資格の大原の合格コース 2024年および2025年 資格の大原の経験者合格コース |
2.受験生活の中で反省したこと
(1)序章
私が社会保険労務士という資格を目指し始めたのは、40歳で初めて管理職になった時でした。部下に対して適切な指導を行うには、まず自分自身が労働基準法を深く理解しなければならない。その切実な思いが、この長い挑戦の出発点でした。
しかし、その決意とは裏腹に、最終的に合格の二文字を手にするまでには、実に10年という歳月を要することになりました。現在51歳。この道のりは決して一本道ではなく、2018年から3年間は学習を完全に中断した「受験休止」期間も含まれています。数えきれない試行錯誤と、そして何より痛切な反省の連続でした。
本稿は輝かしい成功体験記ではありません。むしろ、度重なる不合格、そして一度は諦めかけた記憶を辿り、その原因を冷静に分析することで得られた実践的な教訓を共有することを目的としています。なぜ合格までこれほどの時間がかかったのか。その答えを探る内省の記録が、同じように高い壁に挑む方々にとって何らかの一助となれば幸いです。
(2)学習初期の過ちと計画性の欠如
今振り返れば、合格を遠ざけていた根本的な原因の一つは、学習初期段階における計画性の欠如にありました。学習を継続し、膨大な試験範囲を網羅するためには、実行可能で持続的な戦略が不可欠です。しかし、当初の私はその重要性を理解していませんでした。
学習初期の反省点は、主に以下の二点に集約されます。
- 厳格すぎる学習計画の罠: 意気込みのあまり、非常に厳しめの学習計画を立てていました。しかし、40代の多忙な仕事や幼い子供たちとの両立は想像以上に困難で、現実に即さない計画は早々に破綻しました。進捗の遅れが焦りを生み、やがて学習意欲そのものを削いでいきました。結果として、「社会保険科目に入る頃には学習を放棄する」状態に陥り、ついには3年間の受験休止へと繋がってしまったのです。
- 学習ペースの確立の遅れ: 独学や通信教育を利用していた時期は、明確なマイルストーンがなく中途半端な状態が続いていました。この状況が一変したのは、資格の大原の通学コースに切り替えてからです。毎回実施されるミニテストや確認テストは、「試験合格」という漠然とした目標を「目の前のテストで高得点を取る」という具体的な短期目標に置き換えてくれました。このおかげで自然にペースを掴むことができ、通信コースに移行してからも継続できる基盤となりました。
完璧な計画よりも、まず継続できること。初期の計画性の欠如は、学習継続という最も基本的な土台を揺るがす最大の障害でした。しかし、この問題を克服した後も、私にはより具体的で深刻な壁が待ち受けていました。
(3)敗因分析:繰り返された「選択式」の壁
2022年から大原に通い始め、学習ペースを確立し、択一式試験で合格点を確保できるようになった後も、長年にわたり私の前に立ちはだかったのが「選択式試験」の壁でした。2025年に合格するまでの2年間、私の不合格理由は悪夢のように繰り返されました。
- 2022年:択一43点(選択割れなし・総合計で1点足りず)
- 2023年:選択1科目割れ(労一 2点)
- 2024年:選択1科目割れ(健保 2点)
この記録が示すのは、残酷な事実です。ようやく択一式試験で勝負できるようになった後の2年間は、「選択1科目割れ」で不合格となる。この原因は、学習方法の根本的な問題にありました。選択式試験は、テキストにしか書かれていない細部や文脈を問う問題が多く、単なる問題集の反復では対応できなかったのです。
そこで私は、学習方法を抜本的に転換しました。
- 問題演習とテキストの完全連動: 一問解くたびに必ず該当箇所をテキストで確認し、関連情報を直接書き込むようにしました。
- 未出題箇所の可視化と重点学習: この作業により「問題集には載っていないがテキストに記述されている箇所」が明確になり、それが自分の弱点であることを自覚。そこを徹底的に読み込み、補強しました。
この地道な作業こそが、知識の網羅性を飛躍的に高め、最終的な合格へと繋がった最大の要因であったと確信しています。
(4)本試験の魔物:プレッシャーとの闘い
どれだけ知識を積み上げても、それだけでは乗り越えられない最後の壁があります。それが、本試験という極度の緊張下で襲いかかってくる精神的なプレッシャーです。
合格した2025年の試験で、厚生年金保険法の選択式において「11日」という正答を直感で選んだにもかかわらず、過去の失敗のトラウマがよぎり、最終的に自らの直感を裏切って誤答を選んでしまいました。幸い他の科目で補えたため事なきを得ましたが、改めて本試験の恐ろしさを痛感しました。
積み上げた知識も、極限の緊張には簡単に崩される。最後の1点を左右するのは、知識ではなく精神の安定。この「心の戦い」こそが、私の10年にわたる受験生活の最後の試練だったのだと思います。
3.反省した点をどのように改善したのか
(1)学習継続性とペースの確立
計画倒れを防ぐため、大原の通学コースを利用しました。毎回のテストを短期目標とすることで、自然とペースが確立。通信に移行後も同様に、動画配信ペースに合わせて学習を進め、継続性を維持しました。
(2)選択式試験での失敗対策
- 教材の集中と絞り込み: 手を広げず、大原の教材1本に絞り、復習回数を増やすことに専念。
- テキスト熟読の徹底: 問題を解くたびにテキストへ立ち返り、未出題箇所の読み込みを強化。
- 判例対策の強化: 労働法・一般常識での判例出題に備え、判例集を複数回確認し記憶を定着。
(3)本試験中の動揺対策
過去の失敗によるトラウマを克服するため、「最初の直感を変えない」というルールを徹底。本試験でも冷静さを保ち、総合点・各科目とも基準点をクリアしました。
4.受験生に伝えたいこと:10年の道のりから得た確信
- 持続可能な学習計画の重要性: 完璧だが実行不可能な計画は挫折を招く。仕事や家庭と両立するには、「継続できる学習ペース」を最優先すべき。
- 学習の深化が壁を破る: 問題演習の量よりも、一問ごとにテキストへ立ち返り、知識を体系化する「深さ」が合格の鍵となる。
- 精神状態の制御: 極限の緊張下でも直感を信じ、冷静な判断を維持できる精神的強さが、最後の1点を決定づける。
最後に、この長い道のりを歩み通せたのは、支えてくれた家族、導いてくださった大原の先生方、そして励ましをくれた仲間たちのおかげです。関わってくださったすべての方々へ、心から感謝を申し上げます。本当に、ありがとうございました。


