(2)令和7年度(2025年度)司法書士試験合格反省記(瑞勢さん)

令和7年度(2025年度)の司法書士試験に合格した方の合格反省記です。
〜印象的な言葉〜
「後に自分に合った講師と教材に出会うのですが、「今使っている教材が最良である」という考えからなかなか抜け出せず、ずいぶん回り道をしてしまったと思います。」
「今使っている教材が自分の勉強スタイルやスケジュールに合っているか」
(1)自己紹介
| 名前 | 瑞勢 X(@yu_zuise) |
| 年齢 | 38歳 |
| 職業 | 司法書士法人勤務(司法書士補助者としてフルタイム勤務) |
| 受験回数 | 10回 |
| 本試験得点 | 262点 |
| 使用教材 | ・最初に使用していた教材:TACの竹下先生のデュープロセスと直前チェック ・最後に使用していた教材:TACの山本先生のオートマシリーズ |
(2)長期受験になった原因
私は司法書士試験の合格まで10年かかりました。
なぜ、これほどまでに合格まで時間がかかってしまったのか。その原因は大きく5つあります。
原因1:司法書士試験への認識の甘さ
司法書士試験以外に国家試験の受験経験がなく、学生時代に社会系の教科が得意だったため、「頑張れば何とかなる」と甘く見ていました。しかし、蓋を開けてみると覚える量が異常に多く、ある程度勉強したつもりでも、模試では手も足も出ない状況に陥り、当初のモチベーションは低下していきました。
原因2:当初の動機の希薄さ
今にして思えば、勉強を始めた時の動機が希薄でした。司法書士を目指した最初の動機は、両親が経営していたパン屋が廃業した際に、親身になって相談に乗ってくれた司法書士の先生の姿に感銘を受け、「人のために活躍できる司法書士になりたい」と思ったことでした。しかし、日々の辛い勉強を乗り越えるには漠然とした動機であり、受験勉強の前半においては、強い原動力とはなりませんでした。
原因3:過去問を全て解くことへの固執
過去問を全て解いて合格された方も多くいらっしゃるので、あくまで私の場合ですが、働きながらの受験勉強だったため、過去問に割ける時間が限られていました。それにもかかわらず、40年分以上の過去問を周回することに固執し、膨大な時間を要してしまいました。その結果、大事なAランクの知識さえ定着せず、全体的に知識が曖昧になり、模試等では惨敗。時間をかけているのに結果が出ない日々が続き、「自分は馬鹿なのではないか」「合格は不可能なのではないか」という気持ちが強くなり、モチベーションは一層低下していきました。
原因4:条文を読むことへのこだわり
これも私の場合に限定されますが、初学時の講師の先生が、条文の重要性を強く説いていらっしゃったため、条文をひたすら読んでいた時期がありました。しかし、条文を読むことが苦痛でストレスが溜まり、結果としてあまり頭に入らず、非効率な学習に終始し、モチベーションが下がってしまいました。
原因5:教材切り替えの判断の遅れ
私は当初、ある講座を受講していましたが、その講座では制度趣旨などの理由はあまり考えず、とにかく周辺知識は全て覚えろというスタンスでした。教材には合格に必要な情報が掲載されていましたが、時間が限られている私には全てをこなしきれず、また理由がわからないまま覚えるのは苦痛でした。後に自分に合った講師と教材に出会うのですが、「今使っている教材が最良である」という考えからなかなか抜け出せず、ずいぶん回り道をしてしまったと思います。
(3)5つの失敗原因の解決方法
では、どのようにこれらの失敗原因を解決していったかを書いていきます。
解決策1:試験の厳しさを体感する(原因1の解決)
司法書士試験を甘く見ていたことについては、試験を受けていく中で、この試験の厳しさを体感したことにより、「これは並大抵の努力ではどうにもならない」ということに気づきました(本当は受験前に気づくべきですが……)。もっとも、この試験の本当の厳しさは、合格点まであと数点の合格レベルに達してから気づくことになるのですが。
解決策2:強い動機を見つけ、転職を決意する(原因2の解決)
勉強を始めた時の動機が薄かったという点については、転機が訪れたのは、受験開始から5回目の本試験が不合格になった時でした。一生懸命勉強しているのに結果が出ず、このままでは合格する気がせず、司法書士試験からの撤退を決意しました。当時、飲食店で働いていましたが、飲食業界で働き続けることは考えておらず、SEを目指そうと、プログラミングの学校見学や本を買って勉強したりし始めていました。
そんな時、社労士である叔父に相談したところ、「お前がやりたいことには反対しないし、応援したいと思う。だけど、今までお前を見てきて、一般企業で利益を最重要視する仕事よりも、お客様の権利を守ったり、困っている人を助けることができるような仕事のほうがやりたいと思っているんじゃないか。もう少し頑張ってみてもいいんじゃないか。」と言われました。
その言葉を聞いた瞬間、涙が止まらず、今一度自分に問い直すことにしました。その時、自分が本当にやりたい仕事は司法書士なんだという気持ちがどんどん抑えられなくなり、司法書士事務所に転職し合格を目指すことになります。この時の強い気持ちが、合格するまでの揺るぎない原動力となりました。
解決策3:教材を一新し、勉強法を確立する(原因3〜5の解決)
3つ目から5つ目までの原因は、教材を思い切って切り替えたことにより、一気に解決しました。
• 過去問学習の効率化: 司法書士事務所に就職するタイミングで教材を一新。この教材は、過去問が厳選されており、A、Bランクの問題が網羅されていたため、時間がない中でも繰り返すことができ、知識の定着度が段違いに向上しました。結果、模試や本試験の成績も右肩上がりとなりました。
• 条文学習の最適化: 同じシリーズのテキストには条文も掲載されていましたが、時間がない中で条文に時間を割くのは非効率だと判断し、条文をただ単に読むのはやめました。必要な時に確認する程度にとどめました。
• 理解に基づいた学習: テキストには制度趣旨がきちんと書いてあり、「なぜこのような規定になっているのか」を納得した上で問題に取り組むことができるようになりました。
この教材に切り替えてからは、先の強い動機に気づいたことと相まって、一気にモチベーションが上がっていきました。
合格までの最後の3年間は、合格まで数点足りない状況が続き、何度も心が折れそうになりましたが、強い動機に起因する高いモチベーションを保ち続けたこと、そして自分に合った教材に出会えたことが、結果的に合格に繋がったのだと思います。
私は短期合格した訳ではなく、記憶力や理解力も特に優れていると感じたことは一度もありません。「なぜすぐ忘れるのか」と何度も悩みました。そんな私でも合格することができたのは、長期間勉強してきた積み重ねというよりも、途中から気がついた強い動機と、効率の良い勉強法でした。
効率の良い勉強法といっても特別なことはしておらず、以下のシンプルなサイクルを徹底しました。
1. テキストを読む
2. 過去問(厳選されたもの)を解く
3. テキストと同じシリーズの問題集を解く
とにかく勉強するものは手元にある教材に絞り、他には手を出さず、それのみを繰り返し完璧を目指して解いていました。
この方法でも合格レベルには達しますが、あともう一歩足りずに不合格となった最後の年に限り、答練を受けました。しかし、これはあくまで手元の教材をやり切った時点で手を出すという位置づけでした。手元の教材が9割近く回答できる状態になっていない時点で答練等他の教材に手を出すと、かえってAランクの知識が疎かになり、合格から遠のくと感じています。
(4)受験生へのメッセージ
現在、司法書士を目指して勉強されている方は、試行錯誤されてうまくいかないことがたくさんあると思います。そんな時は、
1. 合格したいという強い動機があるか
2. 今使っている教材が自分の勉強スタイルやスケジュールに合っているか
この2点を再度検討してみるのも、一つの解決策かもしれません。
私は合格するまで大変苦労しました。その分、モチベーションの維持の方法などについて、経験からお話しできることもあるかと思いますので、いつでもご相談ください。みなさんの健闘をお祈りしております。

